最近、多くの家の屋根で見かけるソーラーパネル。しかし屋根塗装を行う際に、ソーラーパネルが設置してあっても大丈夫なのか気になるところですよね。答えは「できます」。ソーラーパネルを一時的に外すなどの措置を行えば屋根塗装は可能なのです。しかし通常の屋根塗装では扱わないソーラーパネルを外すわけですから、ソーラーパネルのない場合の屋根塗装に比べて困難を伴います。今回このソーラーパネルが設置された屋根と設置されていない屋根塗装の比較やソーラーパネルがある屋根塗装の作業方法についてお話しします。
ソーラーパネルの屋根にも塗装をするときが必ず来る
ソーラーパネルを屋根に設置し、ソーラーパネルによる発電で節電を行ったり、あるいは売電を行っている方は少なくありません。しかし、屋根はソーラーパネルを設置してあっても、設置してなくても必ず塗装が必要になる時期が来ます。
後着けでソーラーパネルを設置した戸建住宅の場合、およそ10年から20年で本格的な屋根の修復や塗装が必要になると言われています。ソーラーパネルを設置したまま養生をして屋根塗装を行うということが難しく、またソーラーパネルを支えている屋根の部分は長年の重圧に耐え、破損している場合が多く、補修や塗装による保護が必要となっている場合は少なくありません。そんな時、ソーラーパネルはどうするのかという問題が起こるのです。
ソーラーパネルを設置する前後の屋根塗装の比較
ソーラーパネルを設置する前の屋根塗装と設置した後の屋根塗装ではソーラーパネルの有無だけで大きく屋根塗装の作業内容が変わります。ソーラーパネルを設置する前の屋根塗装の流れとしては高圧洗浄の後、ケレン(サビ取りなどの作業)、補修、下塗り、そして本格的な屋根塗装作業へと進みます。
しかし、ソーラーパネルを設置した後の場合は、まずソーラーパネルを脱着します。それから通常の屋根塗装の流れになって行くのです。一手間増えるだけで工期も延びますし、通常の屋根塗装業者では対応できない場合があるため、別の業者の参加が必要になることがあります。そうなるとその業者の工賃も発生するため、通常の屋根塗装よりも高額になる場合があるのです。
つまり、ソーラーパネルを設置することによって屋根塗装に関わる費用や工期が増すのです。様々なケースがあるのですが、脱着などを行うと通常30~50万円でできる屋根塗装が50~70万円程度になることもあります。
ソーラーパネルの屋根を塗装する際の問題点
ソーラーパネルが設置された屋根塗装の問題点は、屋根の塗装業者が必ずしもソーラーパネルの取り扱いの専門家ではないという点です。そのため屋根を塗装する前のソーラーパネルの扱いが大きな問題となります。
屋根塗装業者は塗装のスペシャリストです。しかしソーラーパネルの扱いに関しては慣れていない場合が多いと言えます。そのためソーラーパネルの扱いに慣れた電気関係の業者や都市部などではソーラーパネルの扱いに長けた屋根塗装業者もいますから、そういった業者を探すことになります。脱着する場合は費用も余計掛かることが多く、屋根塗装のコスト増を招くということもあります。ソーラーパネルの扱いに慣れた業者を見つける手間や屋根塗装のコスト増がソーラーパネルの設置された屋根を塗装する際の問題点となるのです。
撤去して新たにソーラーパネルを設置!事前の屋根塗装は必要?
ソーラーパネルも20年程度の寿命があります。その寿命の際にソーラーパネルを撤去し、新たにソーラーパネルを設置したいと考える方が少なくありません。その場合、事前に屋根塗装を行っておいた方が良いのでしょうか。答えは事前の屋根塗装がおすすめです。その理由についてお話していきます。
ソーラーパネルの再設置前に事前の屋根塗装を行うメリットは、初期投資が増えるものの全体のコストが下がるということです。ソーラーパネルを撤去し、新しいソーラーパネル設置する前に屋根塗装を行ってからソーラーパネルを再設置してもらえば、次の屋根塗装の時期が来た時にソーラーパネル下面の塗装が不要になることが多いため、屋根塗装のコストを下げることができ、20万円程度かかる脱着の費用がかからずに安く屋根塗装を行うことができるのです。もちろん全てのケースがそうなるわけではないのですが、多くの場合、事前に塗装を行うことで安く屋根塗装を行うことができます。
ソーラーパネルの設置と屋根塗装を一緒できる業者があるのか
ソーラーパネルの設置と屋根塗装を一緒にできる業者はいます。ただし非常に少ないのが現実です。なぜならソーラーパネルの取り扱いには各ソーラーパネルメーカーが発行した施工IDが必要となるため、それを持っている屋根塗装業者は非常に少ないからです。このように実際屋根塗装時にソーラーパネルを一緒に行う場合免許が必要になります。
そのためソーラーパネルの設置や着脱と屋根塗装を一緒に行う場合、屋根塗装業者はそのソーラーパネルメーカーが発行した施工IDを持つ施工業者と組んで行う場合がほとんどなのです。ただ、業者が別になるといってもそれぞれのコンビネーションが大切になります。そのたえソーラーパネルの設置と、屋根塗装の両方の実績が豊富な業者に依頼することが重要と言えます。もしソーラーパネルの設置や着脱を一緒に行う場合は、免許を持った屋根塗装業者に依頼するのも大切ですが、それ以上に実績の有無について確認を行い、実際の事例も教えてもらえる屋根塗装業者に依頼するのが望ましいと言えます。
ソーラーパネルと屋根塗装を同時に行う注意点
ソーラーパネルと屋根塗装を同時に行う際の注意点はコスト面です。確かにソーラーパネルの設置前に屋根塗装を行うことは将来的なことを考えると全体のコストは少なくて済むのですが、ソーラーパネルの設置に合わせて屋根塗装を同時に行うので一度に180万円前後の費用がかかってしまうこともあります。
この大きなコストがかかるというのが注意点です。また屋根塗装だけでは対応できず重ね葺きや屋根の葺き替えが必要だということになった場合、ソーラーパネルの設置と屋根の重ね葺きや葺き替えのコストが合算され数百万円を超えることになるのです。そうなると売電や節電を考えていたつもりが意外な出費で計画が崩れることにもなります。このようにソーラーパネルを設置するというだけで40万円程度で済むはずだった屋根塗装単独のものに比べて5~10倍近いコストがかかるという点が同時に行う際の注意点です。
分離発注という方法もあり?ソーラーパネル設置と屋根塗装
コストがかかると言われてソーラーパネルの屋根塗装を行うのをためらってしまう方もいますが、「分離発注」という方法を使えば安全に、しかもコストを減らして行うことができます。分離発注とは、依頼する際に屋根塗装業者を含めた各専門分野の工事会社に発注する工事方式です。
例えばソーラーパネルの設置と屋根塗装を行う場合、ソーラーパネル設置はソーラーパネル専門の工事会社に、屋根塗装は屋根塗装業者にお願いするということです。こうすればそれぞれの専門分野を生かした施工ができ、それぞれ事前にどんな業者なのかこちらで把握することができます。そして、仲介業者がいない分コストも下げられる可能性があるのです。このような分離発注方式はソーラパネルに限らず、近年様々なリフォームの分野で進んでいます。
それぞれのメリットとデメリットを知って我が家に合った方法を選ぼう
ソーラーパネル設置と屋根塗装を同時に行う場合、両方作業できる屋根塗装業者またはソーラーパネル設置会社は非常に少ないというのが現実です。この場合一つの業者に頼んで屋根塗装などを他の業者へ委託するのか、それとも分離発注を行いソーラーパネルと屋根塗装を別々に行うのかで迷うことも多いですが、結論を言うとそれぞれのメリットデメリットを知って自分に合ったものを選ぶということです。
同じ業者に頼むメリットとしては、一度頼んでしまえば一気にソーラーパネル設置と屋根塗装が済んでしまうということです。これはいくつも業者を探す手間が省け、忙しい方には非常に便利なメリットです。デメリットとしては、コストが高くなったり、自分の選んだ以外の業者が工事に参加するということです。一方、分離発注方式のメリットは、コストを下げることができるところ、そして自分の選んだ業者が施工してくれるので安心して任せられるというところです。逆にデメリットはスケジュールのすり合わせや業者選びが大変という点です。これらを考えた上で両方作業できる業者を選ぶか、分離発注で業者を選ぶか検討してみて下さい。
まとめ
ソーラーパネル設置や脱着を伴う屋根塗装は、ソーラーパネル設置に伴いコストも100万円近く増し、着脱のコストも20万円以上かかる場合があります。そんなソーラーパネルの屋根塗装ですが、同一業者に頼む方法と屋根塗装とソーラーパネル設置とを別々の業者にお願いする分離発注の方法があります。これらの方法はそれぞれメリットデメリットがあり、自分の家の屋根塗装の状況や都合に合わせて屋根塗装業者とソーラーパネルの設置会社を別々に発注するかを検討することが重要です。