陶器瓦を除くほとんどの屋根は、10年に一度を目安に屋根塗装することが望ましいです。最近は、耐久性の高い塗料が人気を集めていますが、他にも付加価値がつけられた塗料があります。中でも、遮熱効果のある塗料の存在を知っている方は多いのではないでしょうか。そこで、室内温度を下げる助けをするといわれる遮熱塗料とはどのようなものかご説明します。
屋根の塗装は遮熱できるチャンス!
屋根は家の中でも最も太陽に近く、直射日光をダイレクトに受けています。紫外線を浴び続けることにより屋根は少しずつ劣化していきます。その劣化を食い止め、屋根材や板金部分にまで傷みが進行しないようにするために定期的な塗装が必要なのです。
屋根の表面を触ると非常に熱くなっていることが想像できますが、温度が上がるのは屋根の表面だけではありません。特に屋根に近い二階部分あるいは三階部分、ロフトなどは屋根からの熱が伝わりやすいため室温も上がりやすくなります。日差しの強い日ほど当然室温も高くなってしまいます。そこで、屋根を塗装する際に遮熱効果のある塗料を選べば、屋根から室内に伝わる熱を遮ることができるというわけです。
遮熱塗料にはどんな特徴があるの?
なぜ遮熱塗料を使うと屋根の温度を下げることができるのでしょうか。遮熱塗料とは、太陽光を反射させる働きを持つ塗料のことを指します。一般的な塗料の場合、太陽光による熱を吸収してしまうため表面温度が非常に高くなるだけでなく、屋根材から室内へと熱が伝わってしまうため室内温度が上昇してしまいます。
ところが、遮熱塗料は太陽光を反射しますので熱の吸収を極力抑えることができます。その結果、表面温度も一般の塗料と比較すると20度近く下げることができ、室内が高温になることも防げるのです。屋根塗装は長く住んでいれば必ず必要になります。毎年、日本の平均気温は上昇し温暖化が進む今、見た目がきれいになるだけではなく、さらに遮熱効果まで得られる塗料にますます注目を集めています。
屋根の塗装に遮熱塗料を使うメリットとは
上記でもお話しましたが、屋根は直射日光を受けるため家の中で最も温度が上がりやすい場所です。その部分の温度を下げることができれば、エアコンの設定温度を下げなくても快適に暮らすことができます。電気代の節約にもなり、環境にも優しい暮らしにつながりますね。
屋根の温度を下げる方法として塗装以外にも遮熱効果のある屋根材を使用したり、遮熱シートを敷いたりする方法があります。しかし、遮熱効果のある屋根材や遮熱シートを使用する場合は、屋根材を剥がす必要があり大掛かりな工事となってしまいます。さらに塗装するよりも手間が増えるため、その分コストも高くなってしまいます。塗装の方は、遮熱効果のある屋根材や遮熱シートを使用するよりもはるかにコストを抑えることができ、適度なタイミングで塗装を行えば、屋根材を長持ちさせることもできます。また、短期間で工事を完了することができるので、屋根を遮熱したいのであれば塗装を行うのが最も手軽で効果的だといえるでしょう。
特に屋根に遮熱塗料を使った方がいい住宅のタイプとは
遮熱塗料を使えば効率的に室温を下げられるならぜひ導入したい!と考える方も多いのではないでしょうか。ただ、遮熱塗料を選ぶ前にまずはご自宅の屋根がどのようなタイプか、また建物の構造や環境などをチェックすることがまずは重要です。というのも、遮熱塗料を屋根に塗って効果が得られなければわざわざ選ぶ必要がないからです。
例えば、陶器瓦の屋根はそもそも塗装が必要ありませんし、厚さもあるため屋根の熱が室内に伝わることは考えにくいです。また、周りに高い建物があり日が当たりにくい家ではそもそも遮熱自体も必要ないかもしれません。日当たりの良い環境であることを前提に、スレート屋根や金属屋根など薄く熱が伝わりやすい屋根の家、二階建て以上の家、吹き抜けのある家が遮熱塗料の効果を実感できると考えられます。
遮熱塗料はいろいろある!選び方のポイント
遮熱塗料には様々な種類があります。基本的にはどのような屋根材にも使用できますが、塗料によっては使用できる屋根材が限られているものもあるため、屋根材に合わせて選ぶことが重要です。遮熱効果に加え、耐久性に優れたものや仕上がりの美しさに特化したものなど、塗料によって特徴が異なります。より長持ちさせたい場合は耐久性の高いもの、美観を重視する場合は仕上がりの良さを売りにしているものを選ぶといいでしょう。
また、汚れが付着しにくい性質を持つものや、中には防音効果のあるタイプまで開発されています。機能や耐久性が優れていればそれだけ価格も上がりますが、高い遮熱効果を長持ちさせ快適に暮らすためには、長い目で見て判断することをおすすめします。
色選びも重要!より遮熱効果の高い薄めの色がおすすめ
塗料には当然カラーバリエーションがあります。屋根の色を選ぶのは難しいですし、前の色と同じ方が壁とのバランスもいいしラクと考える方も多いでしょう。ですが、せっかく遮熱塗料を選ぶのですから色も遮熱性の高さを考えて選ぶようにしたいものです。というのも、基本的に濃い色ほど日光を吸収しやすいというのはよく知られていますよね。逆にいえば、白に近いほど吸収を防ぐことができるのです。
遮熱塗料には「日射反射率」というものが示されています。各塗料のパンフレットなどで確認できるのですが、やはり白に近いグレーなどの反射率が高く、黒に近づくにつれ低くなっていくことがわかります。遮熱効果をより発揮させるためにも、色の好みだけでなく日射反射率を考慮して選ぶようにするといいですね。
遮熱塗料だからといって耐久性が特別高いわけではない
遮熱塗料というだけで耐久性も高いと謳われていることがあります。しかし、厳密にいうと遮熱効果があるからといってすべての塗料に高い耐久性があるというわけではありません。そのため、耐久性を高めたいから遮熱塗料を選ぶというのは間違いです。長持ちさせたいなら、遮熱性の前にフッ素などの耐久性に優れた塗料を選ぶことが重要です。そのうえで、付加価値として遮熱性のあるものを選べばいいでしょう。
ちなみに、遮熱塗料を使っても屋根に汚れが付着すると効果は薄れてしまいます。そのため遮熱効果を持続させるためには、汚れが付着しにくい、あるいはついたとしても雨ですぐ流れるという特性を持った塗料を選ぶことをおすすめします。
屋根を遮熱して快適でエコな暮らしを手に入れよう
遮熱効果があるということで、一般的な塗料と比べると価格がどうしても高くなってしまうのが遮熱塗料のデメリットではあります。さらに耐久性の高いものや汚れがつかないものなど、付加価値があるほど相場も上がります。
ですが、屋根を遮熱塗料でコーティングすることで室内温度を下げることに成功すれば、電気代を抑えることができます。耐久性の高いものであれば塗装の頻度を減らせますのでリフォーム代を結果的に抑えることができます。屋根から伝わる熱で部屋が暑いと感じる場合は、遮熱塗料を検討してみてはいかがでしょう。何より、塗装するだけで快適でエコな暮らしができるのなら、決して高い買い物ではありませんよね。
まとめ
遮熱塗料なんて全然知らなかったという方も少なくないのではないでしょうか。塗料には様々な種類があるということ自体、意外と知られていないものです。色のバリエーションだけでなく機能性も商品によって異なるのが塗料の面白いところです。遮熱だけでなく防音機能まで備えられているものもあるのは興味深いですよね。屋根の塗装を考えている方は、遮熱塗料も一度チェックしてみてはいかがでしょう。