水回りや間取り変更などのリフォームを行う際に重要なのが業者選びです。リフォームを取り扱う会社はとても多く、特に初めてのリフォームの場合、どの業者に依頼するべきか簡単に決めることのできる人はほとんどいないのではないでしょうか。そこで業者選びのポイントの一つとなるのが「建築士」の存在です。建築士とはどのような仕事を担う人なのでしょうか。建築士の在籍するリフォーム会社を選ぶメリットについてご説明します。
建築士の仕事とは
そもそも、建築士の仕事内容はどのようなものでしょうか。建築士は建築士法により定められた国家資格です。一級建築士・二級建築士・木造建築士があり、資格により業務可能となる範囲が変わってきます。大まかに言えば、建物の設計や工事監理を行うのが建築士の仕事ということになるでしょう。リフォーム会社での建築士の仕事は、間取り変更を伴うような大掛かりなリフォームの場合は設計を担当することもありますし、図面の作成などを行う場合もあります。
仕事内容は会社の規模によっても異なります。大きな会社で建築士が多数在籍するような場合は設計部門や監理部門に分かれて業務を行うことが多く、小さな会社では設計も監理もすべて一人の建築士が行うことになります。建築に関する専門家ですので、適正なリフォームを行うために重要な存在となっています。
リフォームは無資格でもできる?
リフォーム会社には必ず建築士をおかなければならないという決まりがあるわけではありません。建築士法によると、一定の条件に該当するリフォームでは建築士が携わる必要があると定められています。
ところが、一般的によく行われているリフォームの場合、建築士法の条件に当てはまらないものがほとんどなのです。家をまるごと改築したり増築したりするような大掛かりなリフォームでない限り、建築士の資格は問われません。つまり、無資格の素人でもリフォームを行うことは可能ということなのです。実際、建築士の監理の無い、ずさんなリフォームで失敗していたというケースは少なくありません。リフォームに関する専門知識がまったくない劣悪な業者も存在しうるため、注意が必要です。
建築士のいる会社にリフォームを依頼するメリット
建築士は建築に関する様々な専門知識を取得していますので、素人では気づけないような部分にも鋭く気づき、ベストな内容のリフォームを提案してもらえます。そして、最も大きなメリットは、家を守れる安心感のあるリフォームが実現できるということ。リフォームは、その場限りのものではなく長くその家に住み続けるために行うものですよね。生活していく上で不具合が起きないよう、快適に長く暮らせるような家にするためにも、正しいリフォームを行わなければなりません。
ところが、漏水や耐震性・断熱性の低下など、リフォームによって不具合を招いてしまうようなことも実際あるのです。その原因は設計ミスや監理がずさんであることがほとんど。建築士に任せれば、そのようなミスを招く心配もなく、安心して適正なリフォームを行ってもらうことができます。
建築士在籍の会社に依頼すべきリフォームとは
建築士法では改築や増築などの大掛かりなリフォームには建築士が必要とされていますが、該当しないリフォームであってもできれば建築士在籍の会社に依頼した方がいいリフォームもあります。たとえば、水回りの移動がその一つです。水回りを移動させるとなると、配管を延長しなければなりませんし特にマンションの場合は階下の人の暮らしにも配慮しなければなりません。配管の勾配が足りずに排水がうまくできなくなったという事例もあります。コンパクトなリフォームに見えても、水回りの移動は慎重にすべきで、建築士のような専門性のある人に設計や監理を依頼することで失敗を防げます。
間取りの変更も同様です。壁や柱など、動かしてはならない骨組みを判断しながらリフォームするのは素人には難しいこと。基本的にはこれらの移動・間取り変更が伴うリフォームの業者選びは特に行うようにしましょう。
建築士のいるリフォーム会社の探し方
建築士の在籍は必須ではないにしても、やはりリフォーム会社にとってもアピールポイントになります。そこで、建築士が在籍するリフォーム会社はそのことがわかるようにしているものです。特に「一級建築士」は建築士の中でも難関な資格で貴重な存在とされています。そこで、一級建築士が在籍している場合は特にホームページや広告に明記している業者がほとんどです。
また、リフォーム会社としてではなく「建築士事務所」としてリフォーム業務も行っているというスタイルの業者もあります。建築士のいるリフォーム会社を探す際には、わかりやすく明記されていますのでチェックしておくといいでしょう。
一級建築士が在籍するリフォーム会社がいいの?
簡単なリフォームの場合は腕のよい職人に任せることができれば十分かもしれませんが、上記でお伝えしたようなやや高度で難しいリフォームの場合は建築士法に関わらず専門性の高い建築士に依頼した方が安心です。中でも専門性のより高い一級建築士が在籍するリフォーム会社は他の社員に対する教育が行き届いているところも多く、安心感が違います。
大掛かりなリフォームを依頼する場合は特に一級建築士に設計・監理まで行ってもらえるのがベストです。現状を把握したうえで専門知識に基づいた適切なアドバイスをいただけるでしょう。ただ、建築士の在籍だけにこだわるのではなく、見積り価格が適正であることやリフォーム実績が豊富であることも業者選びの大切なポイントですので、総合的に判断するようにしたいですね。
建築士在籍のリフォーム会社は高額?
建築士のような資格保有者を雇用する会社や、建築士が自ら開業している事務所の場合、リフォームの費用が高額なのでは?と思う人が多いのではないでしょうか。しかし、建築士の存在が費用を左右するという実態はあまりないようです。リフォーム会社の規模もそれぞれ違いますので、高額だから敬遠するということは考える必要はないでしょう。
契約前には見積りを無料で依頼できますので、心配な場合は相見積りを取って比較してみることをおすすめします。建築士がいても製品の大量発注などで費用を抑えるよう工夫している会社もあります。リフォームは安さよりも適正価格かどうかが重要ですので、いずれにしても相見積りは必須です。
安いだけで選ぶと失敗の可能性大
リフォーム会社を選ぶ際には、できるだけ費用を抑えられることを考えるのも重要ですが、ただ安いということだけに捉われるのは危険です。無資格で専門知識も経験もない業者により手抜き工事をされてしまったら、いくら安くても後で修繕が必要になってしまいます。
理想的なのは、価格も良心的で建築士も在籍するようなリフォーム会社。一級建築士が在籍していても激安を実現しているリフォーム会社を選べば、安心感もお得感も同時に得ることができますね。リフォームを検討している方は、気軽な相談からでもぜひリフォーム会社を訪ねてみてください。
まとめ
建築士がいなくてもできるリフォームがほとんどというのが現状です。でも、専門性の欠如によるずさんなリフォームが起こっているのも事実。安心できるリフォームを求めるなら、やはり建築士のいるリフォーム会社を選ぶことが望ましいですね。大切な家に少しでも長く住み続けるためにも、業者選びは慎重に行いましょう。